だって好きなんだもん

「あの……ね?」


 じっと響ちゃんは私を見るばかりで、言葉を発しない。


 その目が無言で続けろって言っていて、それがなんだか怖い。


 「昨日、八木先生に誘われてご飯一緒に行ったの」

 「ふぅん。八木先生、ね」


 前々から八木先生のことを警戒している響ちゃんは、八木先生、の単語だけでお怒りの様子だ。


 だけど、そこで止まっていても仕方ないので私は続きを話し始めた。


 「焼き鳥屋さんに行って、お酒を飲んだりしてたのね」

 「お酒……」


 あ゛ぁぁ、一つ一つの相槌がすごく怖い。


 「1時間半くらい経って、お店を出ることになったんだけど、会計を全部八木先生がしてくださって」

 「当然だな」

 「私はそんなの駄目ですって言って、自分の分くらい出そうとしたら、それはいいから行きましょうってぐいぐい肩を掴まれたまま歩かされて、それで……」

 「ふうん。で?」

 「妙な場所にどんどん行っちゃうし。どうしよ、響ちゃん助けて! って祈って目を開けたら……目の前に響ちゃんがラブホに入って行くのが見えて」



 響ちゃんは私を見つめたまま目を逸らさない。私はギュッと目をつぶった。


 「悲しくて、涙が止まらなくなって。八木先生突き飛ばして帰ったの」


 恐る恐る目を開くと、ニコニコと笑う響ちゃんがいた。

 
 「よく出来ました」


 そしておでこに優しいキス。


 それだけで茹で蛸みたいになっちゃう私に、響ちゃんはさらに甘ーく深い声で私の耳に囁いた。


 「たぁっぷり、お仕置きと躾しような」


 言うなり私の服をさくさく脱がせて、授業時間中に声が漏れないようにって、口を塞いだまま激しく私を攻め立てた。


 ――こんなところで駄目じゃない!?


 なんて心の抵抗は全く意味をなさなくて。

 
 私は短い時間でクタクタにされて、その上意識を飛ばして倒れてしまった。


 しばらくして目覚めたら私の衣服はきちんと整えられていて、響ちゃんの優しさを感じた。



 眠い目をこすろうとすると、左手にある何かが顔に当たる。



 ……ん? な、に?
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