だって好きなんだもん
 とにかく私は両腕をそれぞれ押さえつけられていて、背中には布団。


 目の前は暗いけど、男子生徒が何人か……


 飢えた野獣のような目つきで私を見ている。この状況から言えるのは


 ――私、ヤバイよね?


 「なぁ、先生。俺らとやってよ~」

 「教えてくれよ~」

 「ぃ、や。やめてっ?」


 こんな時やっぱり力はでなくて、声も出ない。カラカラになった喉が張り付いて、息がうまく出来なくなっていた。


 「ん~、嫌がる声も可愛いねー」

 「じゃー頂きますか?」

 「いきましょう!」


 次々にと賛成の声がわきあがり、私のジャージをジジジと下げていく。


 それだけなのに


 「おぉ~」


 なんて歓声があがっている。


 ばっかじゃないの!? と思う自分が居るのに、恐怖で涙が出そうになるだけだった。


 中学3年の男子の力は、到底普通の成人女性では及ぶわけがなくて……しかも、片方ずつ両手両足を別の人間に押さえられていたら、当然反抗できるはずもない。


 チャックが下ろされて前が全開になると、Tシャツが現れてそれにも手をかけて捲り上げようとしてきた。


 さすがにこれには激しい抵抗が出て


 「やめて!!」


 と叫んだ。けれど、そんなことでやめるようなら、とっくにやってない。


 「だぁめ。これからだからさ」



 なんて言いながら続けようとしてきた。


 もう駄目なんだ……そう思って涙がこぼれ落ちそうになったその時



 「そこか!! 馬鹿野郎共が!!」


 バンっと扉が開いてそこには背後から廊下のまぶしい光で後光が差しているように見える貝塚先生が立っていた。



 ずかずか靴も脱がずに入ると、パチっと電気をつける。突然の光に私は一瞬目を瞑った。



 「お前ら! こんだけ人数揃って何やってる! 犯罪だぞ馬鹿が!!」


 そう叫ぶと組伏されていた私にかかる力がなくなって解放された。


 そして即座に貝塚先生は駆け寄ってきて、下ろされたチャックを上げてくれた。


 ――あぁ……助かった。


 そう思ったら力が抜けて立てなくなっていて。それをまるで分かっているかのようにフワっと、本日2回目のお姫様抱っこを軽々とされてしまった。


 「お前ら全員帰ったら覚えておけよ? みーっちり俺が犯罪とは何かを語ってやるからな。全員顔覚えたからな!!」


 言い終えてバンッと荒々しく扉を閉めると私を抱きあげたまま歩き始めたので、私は生徒たちの顔をまともに見ることが出来ないまま部屋を出てしまった。


 そのまま先生はずかずか迷いなく歩くと、すぐ近くの貝塚先生の部屋へ連れて行かれた。
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