止まない雨は無い。ーハッピーエンドのその先ー
苦しそうに、しゃがみ込んでしまった私。
「加奈……。」
心配そうに、私の肩に手をかけた。
触れた途端に、
鳥肌がたってきた。
「…触らないでっ!!」
私は、アイツを拒否した。
大好きだった…
アイツの温もりは、
嫌悪感でいっぱいだった。
「申し訳ない…けど…
帰ってくれる?
取り合えず、過呼吸が出なかっただけ
進歩だと…思って。」
アイツは、渋々立って
「今度は、里穂も連れてくるから。」
そう言って、玄関へと出て行った。
大好きだった香水の匂いも…
今じゃ、一番大嫌いな匂いになった。
人間って、こんなにも
単純なんだと思い知らされる。
取り合えず、ファブ◯リーズで
アイツの匂いを消した。
記憶まで、消してくれたら…
どんなに良かったか。
明かりを消して…ベットに潜り込む。
何にもする気が起きなくなって…
音楽をガンガンに流して
アイマスクをして…
私は、外の世界とシャットダウンした。
「今日だけ…
今日だけは…泣いても良いよね。」
裏切られた事実を知った…あの日から
思い出を、一生懸命消していた。
忘れようとしていた。
けれど…
直夜さんの思い出が、溢れてきた。
…切なくて、辛かった。
私の目からは、一筋の涙が流れていた。