Love is -memoryー
「どこ?」
「お母さんに卒業報告がしたくて」
ちゃんと卒業したよって早く報告したい
「わかった」
そういうともう1度触れるように唇を重ねた
お母さんが好きだった真っ白な薔薇を買って、墓石の前に置いた
「お母さん。高校卒業したよ。進学する。管理栄養士になろうと思う」
進路に悩んだとき、思い出したのは料理上手だったお母さん。
お父さんと3人で囲んだ食事
そして……
あまり食べられなくなって弱っていくお母さんの姿
そんなお母さんにミックスジュースを届けるお父さんの姿
それを受け取るお母さんの笑顔
「食べること、それで誰かの力になれたらなと思う」
お父さんに進学を伝えたとき、好きに進めばいいと言ってくれた
理由を告げた時、お父さんが少しだけ泣きそうだったのは、今でもお母さんのことを愛しているから
お母さんとの日々が幸せだったから
「私も幸せを作っていきたいな」
幸せはなるものじゃない。誰かと作るものだと思う
隣に立つ聖司の手に指を絡めるとぎゅっと握り返された
「見守っていてね」