大嫌いな君との30日間。


帰る時に、玄関ホールで田口佑に会った。


「楽しんで来いよ」


「あ…ありがとう」


田口佑は、肩まで伸びた茶髪をキラキラさせながら言った。


人が多くて、距離が近くなる。


改めて見ると、整った顔立ちだ。


切れ長の目に、高い鼻。


薄い唇に、少し焼けた肌。


そんな顔が近くにあったら、誰だって緊張する。


「じゃあな」


軽く手をあげて去ってゆく。


いつもと違う夏が始まる…





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