未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
俺はソファーに顔を押し付けた。
何も言えないじゃないか。
俺の感情をぶちまけたって、そこから何も生まれない気がした。
綾は俺の髪をそっと撫でながら朝露が落ちるようにポツリポツリと言葉を零し始める。
「上野さんとか――、恭の人間関係、――若さとか――」
顔を上げた俺に綾は苦笑いしながら目を伏せた。
「動揺しちゃうんです」
俺も苦笑いした。
俺を知ってもらいたくて見せたものは綾には逆効果的な毒だったのかな。
毒――、そういや誰かが『毒』って言葉を言ってたなぁ――。
誰だっけ?
そうぼんやりと思っていたら、俺の携帯電話が大きな音で存在をアピールしていた。
手に取り、その音を止め、音の大きさに驚いていた綾に「アラーム時間」と告げた。