未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
立ち上がって、髪をかきあげて、ひとつ溜め息を吐いて、綾を見る。
俺を見上げる綾の瞳は優しげで澄んでいる。
曇らせるわけにはいかないことぐらい俺にだってわかる。
「そろそろ出勤準備しなくちゃな。俺、もう行くね」
「結局、朝まで付き合ってもらっちゃったね」
綾は申し訳なさそうに肩を竦める。
その台詞はくすぐったくも、切なくも心の弦に触れてくる。
「また、いつか絶対――、会おうね」
不覚にも目に熱いものが込み上げてきて、そう言うのが精一杯だった。