未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
5.タイミング
携帯電話の画面に見入ってしまう。
綾が描いた自分の顔が、今の俺に呆れているようだ。
『綾がお前描いてた時間に、他の女乗せてやがんの』
助手席の上野が信号を指しながら、「青だよ」と言ったのとほぼ同時に後ろの車のクラクションが鳴った。
右手に携帯電話を持ったまま、アクセルを踏んだ。
「次の信号を右に曲がって、ちょっといくと左側に、青い屋根のレンガ造りのお店があるの。そこなんだ」
上野の声のトーンが上がる。
俺の頭の中は、綾に送るメールのことを考えていた。
「ここ、ここだよ!!」
左腕をトントンと叩かれて、ブレーキを踏みながら視線を左側に流すと、『ブルーストーン』と書かれた小さな看板と、その奥に青い屋根の建物が見えた。