未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
「早く食べちゃおう」
気持ちがそのまま、言葉になってしまった。
上野は「うん、いただきます」とパスタをフォークに絡ませた後、意味深に笑った。
「そんなに慌てなくても、大丈夫なのに」
「え?」
「大丈夫よ。まだ12時過ぎたところだし、時間いっぱいあるじゃない?」
「あ~」
そういえば、俺、予定ないって言ったんだった――。
「ゴメン、ちょっと用事できちゃったから、これ食べたら送るよ」
上野の背筋が伸びた。
「え~?もしかしてメールの人と約束しちゃったの?」
「うん、ワルイな」
俺は顔の前に右手を立てて謝って見せた。
上野の表情が急に険しくなっていった。
「ひどい!わたしのほうが先約なのに」
「別に約束してないよ」
きっと、俺がよく「冷たいヤツ」と言われるのは、こういう言葉なんだろうなって思いながらも、つい口から出てしまった。