未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
上野は下唇を噛みながら、俺を見た。
少しずつ瞳が光りだした。
泣くつもりなのか?
「その人、女でしょ」
決めつけたように放たれた言葉に、俺も迷いもせずに「そう」と答えた。
今度は少し不安気に俺の顔を覗き込む。
「恭の彼女?」
「違うよ」
「でも、わたしより優先なんだね」
「誰より優先、かな?」
自分で言って、その音を自分の耳で聞いた。
確認するように。
「でも、彼女じゃないんでしょ? そんなの、なんか都合のいい男扱いじゃない? わたしは、恭を一番に想っているよ」
なんだか、気分が悪かった。
上野、アンタに綾と俺のなにが分かるって言うんだ?
自分の価値観で、決め付けるな。
「でも、俺、誰でもいいってわけでもないから」
上野の潤みかけていた瞳が、一瞬にして乾いたように感じた。
そこに俺の携帯電話が振動した。