未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
《 黒磯駅に行けばいい?14:45に着くので行くね。待ってて 》
読み終わると同時くらいに、立ち上がった上野が俺の携帯電話を引っ手繰った。
「おい!返せよ」
上野は携帯電話の画面に視線を向けたまま、穏やかな口調で「じゃあ、2時44分までは、わたしと一緒にいても大丈夫だよね?」と、呟く。
俺の半分の胸は、上野の行動に本気で腹が立ってきていた。
でも、残りの半分が穏便にこの場を切り抜けねば、と考えていた。
「食べたら、送っていく。今日はそれで終わり。ほんと、悪かった」
「――わたしはずうっと、この時を待っていたの。恭と会える日をね。だから、後一箇所だけ、付き合ってよ。じゃないと、携帯電話返さないから」
可愛くねぇなって、心底思いながらも、仕方なく「わかったから」と言った。
「じゃあ、約束を果たしてくれたら返すね」
上野は自分のバッグに俺の携帯電話を眠らせた。