未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
8.涙の意味
「あ――、ごめん」
泣かせてしまった。
俺が悪いのか?
――悪いよな。
いきなり反則行為だよな。
「わたしが悪いから。恭が怒るのは当たり前だよね。ごめんなさい」
上野が素直に謝った。
そして、少し悲しげに微笑んだ。
「――はじめて恭に触れられた。嬉しいけれど、触れたくて触れてくれたわけじゃないよね――。むしろ、逆かな」
突き刺さった。
返す言葉が思い付かなかった。
ただ、頭の中で今日、上野が口にしてきた言葉を辿っていた。
そして、あまりにも自分勝手な自分に気付く。
「駅まで送ってくれる?」
「ああ」
「大丈夫、すぐ帰るから。これ以上、恭の機嫌損ねたくないし」
上野が涙を拭いて笑ってみせる。