未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
「なんか、ごめんな」
上野が首を横に振り、シートベルトを締める。
車を出して、黒磯駅に向かって走る。
上野は左横に流れる風景を黙って見ている。
きっと傷付けた。
もっと、他に方法があったかもしれないのに。
助手席に乗せたのは、自分の意思だったのに。
「今日じゃなかったら良かったのに」
上野が呟いた。
「えっ?」
「違う日に、高坂君に偶然会えたところから、やり直せたらいいのにな」
泣き笑いする上野の姿がイタイ。
『高坂君』に戻った俺は何も言えないまま、車を走らせる。