未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
車内の時計が『14:40』を表示した。
エンジンを切って、車から降りる。
深呼吸を一つして駅に歩いて向かう。
心臓が上へ上へと突き上げられるような感覚を感じながら、改札の前に立つ。
電車が着いた。
数人が改札を通って、俺の前を横切る。
一番最後に黒いワンピースの上に白のシャツを羽織った女性が出てきた。
バッグから乗車券を取り出し、改札でそれを渡して顔をあげ、視線をこっちに向ける。
俺は息を飲んだ。
「こんにちは。久しぶりだね」
「――久しぶり。なんか、感じが――」
「ん?」
「感じが変わったね。なんていうか、こう――」
「老けた?」
「いや、そうじゃなくて、大人の女って感じ」
綾はきょとんとしたかと思うと、すぐに優しい微笑みを浮かべた。
「だって、大人だもの」