未成年・恭～【恭＆綾シリーズ】２

１１．近くて遠い

「離婚の理由はね――」


綾の話によると、３ヶ月前、綾が夫と姑の会話『嫁を取り替えたら?』で、傷つき家を飛び出して外泊をしていた時に、以前から夫に好意を寄せていた夫の勤め先の女性と夫の間に関係が出来てしまったこと、そして、彼女の妊娠がわかったことだった。


「悔しいとか、悲しいとか普通は思うのだろうけれど、そのことを告白されたときにね、これでやっと解放されるって、最初に思ったの。変でしょう？でもね、正直な気持ちだった」


綾は小さく笑う。

その表情は穏やかに見える。


「そしてね、あの外泊のあと、妙に優しくなった旦那のこと、不思議だなぁって思っていたんだけれど――きっと、あれはわたしに対して負い目を感じていたんだと思うわ。わたしが家を飛び出した原因となっていた言葉がほんとうになってしまっていたから。――わたし、出来ちゃった結婚の後、子どもが生まれないままの夫婦だったことが、妊娠できなかったことがね、すごくプレッシャーにも、ストレスにもなっていたんだなぁって思う。そこからやっと解放されたっていうのが正直な思い。確かに想い合っていたはずなのに、いつの間にか夫婦として一緒にいる意味が何だったのか見失ってたみたい。だから、くるべきときが来たというか、こうなって良かったというか」

「俺、なんてコメントしていいかわかんないよ…」