未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
第二章
12.第三者の大人女
「――ほんとうに馬鹿」
俺の話を黙って聞いていた康則さんと静さんは声を揃えて言った。
三ヶ月前は「離婚の危機だ」と俺の部屋で飲みながら愚痴っていた康則さんだったが、今日訪ねてみたら、二人は仲が良かった時と変わらない様子だった。
どうやら静さんとの仲を修復できたようだ。
俺は自分の言動を綾がどう感じたのか、とても不安になっていた。
ダムから駅に向かうまでの間、綾は喋り続けていた。
最近、世間を騒がせたニュースや、H&Rの好きな曲についてなど、ずうっと話しているのだ。
運転しながら俺は、その話をずうっと聞き続けていた。
駅に着いたら、「ありがとう。それじゃ、ね」と言って綾はホームへ向かった。
「また、会えるよね?」と言った俺に、「きっと」とだけ告げる。
俺はそれ以上、何も言えないまま綾の後ろ姿を見送った。
綾とのことを第三者に話したのは初めてだった。
女のことを相談するなんて、とも思ったが、正直どうしていいかわからなくなっていた俺は、誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。
思い浮かんだのは康則さんだった。
康則さんの奥さんである静さんは、康則さんよりも年上だったから。