未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
「ほんとうに馬鹿よ」
静さんはその言葉を二度言った。
「まぁ、気持ちはわからないでもない、けどな」
康則さんはマイルドセブンに火をつけながら、目を細める。
すうっとテーブルの上の灰皿を取替え、静さんは俺を見た。
「でも、恭くんがねー、意外だねー。そういう風になるタイプじゃないと思ってたけれど」
「俺がいちばん驚いてるかも」
正直、俺は静さんには弱い。
俺の初めての人が静さんの後輩だったからだ。
中学三年の時に康則さんのバンドに入っていた俺は、ライブによく来ていた高校三年のその人に半ば押し切られたように関係を持ってしまった。
正直、俺のほうは彼女を好きだからというより、好奇心に負けた、という感じが強かった。
彼女のほうは本気だったから、その後の付き合いが上手くいかなかった。
俺は傷付けたくはないと思いながらも、その人に熱情を持つことはなかった。
年上の彼女は俺のことを「冷たいヤツ」とよく言っていた。
そして、彼女は俺とのことを当時既に康則さんと付き合っていた静さんに相談していた時があったらしい。
「女の立場からはっきり言わせてもらうと」
「うん」
「離婚したばかりの彼女にとって、恭くんの存在は癒しであり、自己肯定や自尊心を保つのにとても有効。だけど、恭くんの若さはかなりの毒だよ」
「――」