未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
15.一人だけに向かう気持ち
上野にマジで惚れているんだなぁと、大輔さんの表情からひしひしと感じて、俺はこの場に居辛かった。
「俺、そろそろ行きます。明日、早いんで」
「そうか。今度ゆっくり飲もうぜ」
いつもはしつこいくらいに引き止める康則さんが、今日はすんなりと言葉を受け入れてくれた。
「静さん、大輔さん、それじゃまた」
俺が立ち上がり、玄関へ向かうと大輔さんが追ってきた。
「恭司、――百合はいいコだよ。静はあんな風に言うけれど、本当にいいコだよ。心底お前に惚れてんだ。だから、優しくしてやってくれ」
語尾が小さくなっていく大輔さんを小さく感じる。
いつも威勢がいいのに。
いつもドンとしているような人なのに。