未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
17.懐かしき場所
仕事帰りに懐かしい場所に足を向ける。
高校受験で一度は離れたバンド活動だったけれど、高校に入学した後、抑えていた血が騒ぎ始めてまたのめり込んだ。
音と音が絡み合って胸の真ん中から込み上げてくるあの快感は再び俺を虜にした。
四六時中、その中に埋もれていたかった。
高校で見つけたメンバーの中には、運動部と掛け持ちのヤツもいたから、ライブ回数は少なかったけれど、ステージの上での気持ち良さは格別だった。
親父のところでバイトしながら倉庫で使いたい機材をチョイスして、良くココに運び込んだよなぁと、店の裏口をくぐる。
「お? 恭じゃねぇか!! 久しぶりだなぁ。元気に社会人やってんのか?!」
俺の姿を見つけて近寄り、痛いほど肩を叩くこのおやじさんは、このライブハウス『meteor(メテオ)』のオーナーだ。
「相変わらず、元気っすね」
白髪頭ながらも相変わらずのハイテンション振りを見せるおやじさんの姿に懐かしさと嬉しさが胸に込み上げてきた。
つい、数ヶ月前までのことだけれど、学生時代は遠い昔のようだ。