未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
「今度の土曜日って三つ出んの?」
「おうよ」
ライブ予定が書き込まれているホワイトボードに目をやると、そこには何回か目にしたバンド名が書かれていた。
「アッシュって、ハード&ローズのコピーもやるよね?」
「ついさっき、敦也がそこにセットリスト持ってきてたぞ」
「見てもいい?」
「おう」
アッシュは大学生バンドで、以前から俺達のバンドと路線が似ていた。
ちょうどいい。
これなら、綾も喜んでくれるだろう。
「なんだ、土曜来れんのか?」
「今週来る予定」
「土曜はいそがしいんだろ? 仕事」
「そうなんだけれど、今週は観に来るよ。たまには顔出さないと、おやじさんにボケられて忘れられそうだしな」
おやじさんはにやっと笑って俺の首に左腕を回し、右手で頭をむちゃくちゃに撫で回した。
「久しぶりでも変わらんのう! わはははっ」
「いってーよ!! 相変わらず馬鹿力でやんの」
「まだまだお前ら世代には負けんよ」
ここで一緒に時間を過ごせば、綾が俺側の世界に入ってきてくれるような気がする。
俺がステージに立ったところがいいと言ってくれた綾の言葉が大きな意味を持ってくるように感じて心が躍っていた。