未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
西口の前に綾がいた。
両手を後ろにバッグを持って、一人で俺を待っている姿を眺めていたい気持ちにもなる。
なぜだか、とても楽しそうに見えるから。
シンプルなブラウンのワンピースは、綾に良く似合っていて体のラインも色っぽい。
こういうところがさらに俺をドギドギさせていることにきっと気付いてないだろうな。
ん?
なんだ?
あの男は?
俺は走って綾のそばに行く。
「あ、恭」
綾が俺に気付き、男が振り返る。
そして足早に立ち去る。
「なんだよ、あいつ」
「誰か待っているの?って」
「ごめん、待たせたね」
「ううん、こうやって待ってるのも楽しいものなんだなぁって、思っちゃったりしてたくらいだから」
「本当は軽く食べてからって思ってたんだけれど、見せたいバンドが八時からだから」
「うん。いいよ」
「じゃあ、終わってからなんか食いにいこう」
「はい」
綾の「はい」は微笑み付きで気持ちがいい。