未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
俺は綾の手を引っ張るように自分のほうへ引き寄せた。
「これ、綾に見せたかったバンド。アッシュだよ」
告げる俺の声に被さるように上野が言葉を発した。
「あの日、河原さんが来る前まで恭と一緒でした」
「あ――」
綾が俺の顔を見る。
大輔さんが上野を強引にもとの場所へ引っ張る。
「百合、終わってからにしろよ」
仕方なさそうに上野はステージのほうに顔を向けた。
綾は上野の後ろ姿を見ながら何か呟いた。