未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
3.会話
「今日はお休みなの?」
上野は俺の顔を見上げた。
視線があまりにも真っ直ぐに目に届いて、ちょっと困った。
「うん。……ごめん、同じ学年だった……んだよね?」
こんな聞き方しか出来ないくらい、俺は上野について何も知らなかった。
上野は小さく笑う。
「同じクラスにはなったことなかったから。わたしは三年のときはA組だったの」
「そーなんだ」
それじゃあ知らなくて当然だと、心の中で呟いた。
ふと、背後に人の気配を感じた。
振り向くと、CDを二枚持った中年の男が、小さく咳払いをした。
軽く頭を下げ、俺はレジを離れた。
「お待たせしました」
上野がCDを受け取りながらも、俺に方をチラッと見る。
俺は右手を軽く上げ、「じゃあ」と声には出さず、口を動かした。
上野は背伸びをするようにして、何か言いたげだったが構わず店を出た。