未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
21.雨
ラーメン屋を出た俺と綾はゆっくりと駅に向かって歩いていた。
「そこを右に曲がったところにある駐車場に停めてあるんだ、車」
綾は少し淋しげな表情で曖昧な笑みを浮かべた。
その表情は、嬉しさで浮かれていた俺を不安にさせた。
俺が綾の手を握ろうとした時、ポツリポツリと夜空から雫が落ちてきた。
綾は左手を開いてその雫を手のひらに受けていた。
「雨――だね」
その後の雫から激しく落ちてきて、俺は綾の手を掴み、駐車場に向かって走り出した。
駐車場のコンクリートの壁までたどり着いた頃には綾の髪からも俺の髪からも雨の雫が落ちていた。