未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
静かに綾が俺の胸に手をつき、そっと俺をはがしていく。
「ごめんね――。甘えちゃった」
綾は微笑んだ。
俺はもう一度抱き寄せようとした。
でも、今度は綾がするりと逃げた。
「恭はこれからの人だもの。わたしがこれ以上、甘えてちゃいけない」
(――どうしてそんなことを言うんだ?)
「甘えてなんかいない。甘えてくれたほうがいい。今日だって、今だって俺が――」
綾は首を横に振る。
「恭は優しいから、一人になったわたしを放って置けないんだよ」
「ちがう、そうじゃない」
「きっとこういう人が初めてだから関心が向いているだけで、気付かないだけかもしれない。恭とわたし、釣り合わないもの」
「それはおれが若過ぎるから対象にならないってこと?」
「その逆。わたしは恭にふさわしくない」
綾はきっぱりと言った。