未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
22.感情
綾が後ろを振り返る。
上野がこっちに向かって歩いてくる。
大輔さんは上野の後ろ姿を見守るようにその場に立っていた。
「よかった。また会えて。さっきは話の途中だったから、探してたの。きっと駅の近くに恭の車があるって思ったんだ」
上野は俺をちらっと見ただけでその視線を綾に向けていた。
綾がその視線を受け止めて、静かに上野に訊いた。
「話って――、わたしに?」
「もちろん」
綾が俺の顔を見る。
目が合ったとき、俺は顔を左右に振った。
上野とはただの知り合いだよという意味を込めて。
「今日はこれからどうするんですか?」
上野がはっきりとした口調で綾に訊いた。