未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
「どこに泊まるの? 雨だし、送っていくよ」
「大丈夫。すぐ近くだから。恭のほうこそ早く帰らないと。黒磯まで雨の中の運転なんだから」
微かな俺の期待を綾の言葉はすっかりと打ち消していた。
それは綾らしい気遣いの見える言葉でもあった。
でも、だめだ。
今、こんな霧のかかったような気持ちのままで綾と離れたら、俺はまた不安や切なさに囚われ続ける。
「綾に話したいことがあるんだ。車の中ででもいいから」
綾は少し考えて、ブルッと身震いをした。
「寒い?」
俺が訊くと、左右の二の腕を擦りながら「少し」と答えた。
「この格好のままじゃ二人とも風邪引いちゃいそうだね」
「俺は大丈夫だけど」
「とりあえず予約してある部屋に行ってシャワーを使おっか」
喉の奥が鳴ってしまいそうになるのをグッと抑えて、俺は「いいの?」と訊いた。
「うん。恭に風邪引かせたくないし」
さらっと答える綾の表情はいつもと変わらない笑顔だった。