未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
第三章
23.スイート
宇都宮駅の東口側に位置するそのホテルに綾を乗せて移動する。
平静を装いながらも頭の中でいろんな思考を駆け巡らせてしまっている。
でも、まず部屋で落ち着いたら、上野のことをちゃんと説明しなくてはいけないことだけは、最優先しようと思っていた。
赤信号で止まる。
助手席に視線を向ける。
綾は真っ直ぐ前を向いて、フロントガラスに広がっていく雨の粒を見つめている。
落ち着いた大人の女の横顔に見える。
この展開をどう思っているのか、その表情からは測り知れないけれど、初めて唇を重ねた時も、そして今日抱き締めた時も、瞬間驚きはするものの、綾は取り乱したりしなかった。
今、同じ場所に向かう車の中で、綾の感情と俺の感情の差はどのくらいあるのだろう。
なぜか急に目頭が熱くなる。
下唇を噛みながら色が変わった信号を見つめ、アクセルを踏んだ。