未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
俺の前を歩いてエレベーターの正面まで行った綾は、エレベーターの中に入り最上階のボタンを押した。
「実はね、例のイラストの賞金でちょっと豪華な気分を味わってみようとスイートをとってみたの。ここのホテルで一室だけなんだって。スイートを一人で使う贅沢っていうのもいいかなぁってね」
綾は肩を竦めながらにこやかに笑ってみせた。
その仕草はきっと俺の余裕のない表情を見かねた綾の優しさのように感じた。
温かいものが胸の中にこみ上げてくる。
「スイート? すげぇな」
「わたし、スイートって初めてなの。さっきね、荷物を置きに部屋へ入った時、ワクワクしちゃった」
「俺も今、ワクワクしてきた」
クスッと綾が笑い、それと同時にエレベーターが到着の音を鳴らした。