未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
24.見え隠れする本心
とりあえず、告げなければならないことを落ち着いて伝えなきゃ。
俺はそっと目を閉じて、自分の心を落ち着かせるよう努めた。
「あのさ、さっき駐車場で会った上野のことなんだけれど――。同級生なんだ。最近、偶然会って声かけられるまでは同級生だってこともわからなかったのだけれど――」
「そう、同級生なんだ――」
「一度だけご飯食べに行ったことがあるくらい」
綾の表情が緩む。
「うん。でも、いいんだよ、わたしにそんな風に気を遣わなくても」
「気を遣うって言うより、俺が言っておきたかっただけだから」
綾に誤解されたいくないんだ、という言葉は飲み込んだ。
首を傾げながら微笑む綾は、「参っちゃうな、恭は真っ直ぐな人だって知っていたけれど。わたしはね、ダメだな」と、大きくため息を吐いた後、綾は窓のほうへ行き俺に背を向けたまま外を眺めていた。