未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
「俺に会う理由は存在価値を確かめるだけ? そのほかは何もない?」
綾は嘘がつけないはずだ。
嘘が苦手な人だ。
だからこそ俺は今、答えてほしいと思った。
綾は黙ったまま、俯いてしまっている。
俺は綾に歩み寄って少しかがみ、その顔の目の前に自分の顔を持っていく。
「それだけ」
微かに聞き取れるような声で綾が口にした言葉に俺は動けなくなった。
「それだけだよ。だからもう、会わないことにする」
見開いた俺の目に綾の意思を持った瞳が映った。
「それ、本心?」
やっとのことで聞き返す。
「ごめんなさい。でも、たとえ今、恭を傷付けてでも守りたいものがあるの。だから、もう会わない」
鼻の奥がつうっと痛く、脱力感と妙な頭痛に襲われる。
綾がここまではっきりと言うなんて思いもしなかった。
後退り、綾から離れ、俺はテーブルの上においていた私物を手に取り、ジーンズのポケットに押し込む。