未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
先ほどのエレベーターに乗ってみたが、そこにもなかった。
とうとう綾の部屋の前まで戻ってきてしまった。
俺ってかなり格好悪い奴だな。
ノックする前に携帯電話を取り出し、綾に電話する。
八回コールした後、綾の声がした。
「恭?」
「ごめん。忘れもの取りに来た」
「忘れもの? え? 今どこにいるの?」
「綾の部屋のドアの前」
「あ――」
しばし間が空いて、目の前のドアがガチャッと開く。
白いシャツタイプのパジャマを着た綾が髪にタオルを巻いたままの姿で出てきた。
あ、素顔だ。
俺はしばし見入ってしまった。
綾が俺の視線に戸惑っている。