She Loves Me
「翔太(ショウタ)〜、お前さっき窓ガラス割ったんだってー?」
「つーか、割ったのお前じゃないんじゃん?」
席についたイガラシの周りにはわらわらと人が集まってくる。
男子も、女子も。
「終わったことはいーんだよ、つかさ、委員長ってなに?さっきぐっちが言ってたじゃん?俺、委員長の隣の席だって」
委員長、という単語が聞こえて思わず肩の力を入れる。
「マジかよー。知らずにそこ座ったわけ?ほら、さっきお前の名前叫んでた女子!うちのクラスの委員長よ」
集まった集団の中のひとりがご親切に、あたしの説明をしてくれる。
「いいんちょー」
人だかりで本人が見えないけど、それはたしかにイガラシの声。
「……はい」
関わらない、関わりたくない。
そう思ってたのに、呼ばれたら思わず返事をしてしまう。