She Loves Me
「て、いうか幸、翔太のこと知らなかったんだ?」
部活までの時間、あたしはタイちゃんから言われていた。
隣の席の不良、もとい五十嵐 翔太(イガラシ ショウタ)は学校ではちょっとした有名人らしい。
あの風貌だけど、とっつきやすくて生徒からは人気があるらしい。
「翔太のこと知らなかったって…幸はやっぱりどこか抜けてるよね」
言い残して、タイちゃんは部活へと行ってしまった。
さて、図書室に行くか。
立ち上がろうとすると、教室のドアが開いた。
この場合、もちろん、というべきか。
入ってきたのは、イガラシだ。
「あ、いいんちょー」
目が合うと、イガラシはヒラヒラと手を振っている。