She Loves Me


山口先生に頼んで、もう1枚コピーしてもらったらいいのかな?


考えるあたしの様子には全く気付かないのか、イガラシはヘラヘラしている。



「ぐっちに言っといてよ、いいんちょー。進路希望は変わらないって」



「変わらないって…え?ちょっと、イガラシ!」



じゃあね、と背を向けたイガラシを思わず呼び止めた。



「翔太でいいよ?」


検討違いの返事をするイガラシに、食いぎみに問いかける。



「イガラシは、やりたいことがあるの?」


やりたいこと、やったもん勝ちって言った山口先生を思い出す。



「あるよ。つーか、なりたい職業がある」

「なに?」

「さぁね。いいんちょーには内緒」



人差し指を口元に当ててそういうイガラシのピアスよりもキラキラな笑顔は、あたしには眩しかった。


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