She Loves Me
放課後、今日こそ図書室に行こうと支度をした。
結局、昨日も行かなかった。
荷物を持って、廊下を急ぐ。
「おっ、委員長」
男の人の声にぐるっと振り向くと、そこに立っていたのは山口先生。
「なんだよー、そんな明らかに違った、みたいな顔すんなよー、先生は悲しいぞ」
普段は自分のことを先生、だなんて呼ばない山口先生のわざとらしい言葉に、思わず笑いが込み上げる。
突如として、イガラシが前に言ったことを思い出す。
「あの、イガラシが…進路希望は変わってないって言ってました」
突然のことに、はじめはキョトンとした顔を浮かべていた先生だったけどその顔は、すぐに笑顔に変わった。
「そーかそーか。よかった、よかった。高橋、アイツのこと、よろしくな」
アイツ?
久しぶりにきちんと名前で呼ばれたことにも驚いた。
「翔太のこと、よろしくな」