She Loves Me



結局、放課後になってもイガラシは教室に戻って来なかった。



こういう時は心を落ち着かせなきゃ。



あたしは図書室に行くことにした。



図書室に入ると、今日は当番じゃないんだろう。羽鳥くんはいなかった。



だけど、代わりに居たのは、思いがけない人だった。



「イガラシ……」



窓際に座って、外を眺めているその後ろ姿をあたしが他の人と間違えるはずがない。



名前を呼ぶと、ゆっくりとこっちを向いた。



イガラシの明るい茶髪が、太陽の光に透けてキラキラと輝いていた。



そのキラキラとは対象的に、振り向いたイガラシの顔は悲しげで思わずあたしはイガラシに駆け寄って、その大きな背中を抱きしめた。





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