She Loves Me
放課後の図書室は、殺伐としていて今日は誰も居ない。
まだ来て居ないのか、それともサボりか、図書委員さえ居ないここは、あたし達ふたりだけの空間だった。
「なに?いいんちょー」
「イガラシが、イガラシが泣きそうな顔してるから」
突然抱き締められたイガラシは、あたしより大きいから、当然腕には収まりきらない。
「俺、そんな悲しそう?」
「うん。イガラシがシクシク泣いてるちっちゃい子どもに見えるよ」
そう言うと、腕の中のイガラシの力が少しだけ抜けたような気がした。
「さすが、いいんちょー。俺ね、今日のは八つ当たりだったの」
今日の、が指すことは言わなくてもわかる。
「八つ当たり?」