She Loves Me
「もし、さ。なんか悩みとかあったら俺でよかったら聞くし、さ。アドレス、前と変わってないしメールでもなんでもしてきてよ」
あたしの心を知ってか知らずか、羽鳥くんが言う。
「ありがとう。羽鳥くんって、本当に人のことよく見てるよね」
人気者になる人は、それだけの器があるんだろうなあ、あたしは妙に納得した。
「そんなの…高橋だからだよ」
聞こえるか聞こえないかくらいの声で羽鳥くんが言った言葉は、よく聞き取れなかった。
「なんか言った?」
「なんでもないよ」
羽鳥くんは笑顔を浮かべて、図書室から出て行った。
委員会の仕事はしないのかな?
ちょっと疑問には思ったけど、久しぶりに羽鳥くんとゆっくり話せてよかったな、と思った。