She Loves Me
「はい」
名前を呼んだ瞬間に立ち止まり、律儀に振り向いてくれた。
「相談が、あるのだけれど…」
今朝、イガラシに話しかけていた人たちみたいに綺麗でもなくて。
タイちゃんみたいに社交的で明るいわけでもない。
地味なあたしに男友達なんているはずなくて。
きっとこんなこと、羽鳥くんにじゃなきゃ相談できない。
そう思った。
「あの…ダメならいいんだけど…」
「え…?」
明らかにいきなりすぎて驚いてるようだった。
「あの…別にたいしたことじゃないのでやっぱり…」
「図書室で待っててもらっていい?」
急に相談だなんて変なことを言い出したあたしにまで羽鳥くんは爽やかに、優しく対応してくれた。
「できるだけ急いで行くから。待ってて」
そう言うと小走りで職員室の方へ行ってしまった羽鳥くん。
なんていい人なんだろう。