She Loves Me
少しだけはねた前髪は寝癖だろうか。
「おはよう、イガラシ」
フラフラと席につくイガラシに、明るく挨拶をする。
「今日は早いんだね」
「あー。いいんちょーが遅刻すんなって言ったんじゃん」
昨日のメール、読んでくれてたんだ。
ちゃんと遅刻せずに来たんだ。
「エライ、エライ」
そう言って、あたしは立ち上がって机にうっつぷしたイガラシの頭をよしよし、と撫でた。
「なにそれ?」
「昔ね、うちの手伝いしたり、ご飯残さず食べるとお母さんが必ず頭を撫でてくれてたんだ。エライね、って。だから、イガラシもエライ、エライ」
なんだかあたしは嬉しかった。