She Loves Me


授業中。

イガラシは珍しく起きている。



ちらっと横目で隣の席を見る。



どうやらあたしのプリントを書き写しているらしい。



どうりで、イガラシが授業中に起きてるなんて珍しいと思った。



思わずふふっ、と笑う。



「授業中によそ見しちゃいけないんですよ、いいんちょー悪い子」



あたしの目線に気付いたらしい。



イガラシがヒソヒソ声で話しかけてきた。



それだけで、あたしの心臓の音はうるさい。



「ねえ、プリント見せてくれたお礼にアイス奢ったげよう。放課後、ヒマ?」



手元を動かしながら、イガラシは言った。



「えっ?あたし?」



びっくりしすぎて、大きな声を出してしまったあたしは一気にクラスのみんなの目線を浴びる。



「呼んでないぞー、高橋」



先生が不思議そうにしている。



しまった。今は授業中。

は…恥ずかしい…。



「いいんちょー、アホだー」



イガラシはくくく、と笑いを堪えているのがわかった。



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