She Loves Me
その言葉が、どんな意味を持つのかあたしにはわからなかった。
「高橋」
「はい」
いつになく、真面目な顔をした山口先生。
「これは、担任として言う。五十嵐の出席日数じゃ単位マジでやべーから、委員長、頼んだ」
「……えぇ〜???」
真面目な顔から一転、いつもの口調で山口先生は言う。
だけどその顔はどこか不安げで、イガラシのことを本当に心配しているのだということが伝わる。
「じゃあ、担任としてじゃなく、イガラシの幼馴染みとして言いたいことはなんですか?」
あたしは意を決した。
山口先生は、一瞬驚いたけど、すぐにその口元は緩んだ。
「翔太の兄貴分としては、可愛い弟には自分の道を自分らしく歩いてほしいよ」
さようなら、ともう一度言って、あたしはイガラシを探すことにした。