She Loves Me
思ったより広い屋上は、空との距離がいつもよりうんと近くなったような気がした。
みんなこの景色を見るために、授業をサボる、といえば屋上なのかもしれないとさえ思えた。
あたしがここに来たことに驚きはしたものの、寝そべったままのイガラシの横に腰をおろした。
「制服、汚れるよ」
意外と紳士なイガラシにそう言われたけど、あたしは
「平気だよ」
とだけ言った。
あたしもイガラシも、それっきり何も話さなかった。
時々、空の上を飛行機が飛んで行くのが見えた。
どれくらい、そうしていただろうか。