She Loves Me
長いのか短いのかはわからない沈黙を破って、先に口を開いたのはイガラシの方だった。
「俺、委員長にはかっこ悪いとこばっか見られるね」
あたしは相変わらず、寝そべったままのイガラシの顔を見た。
「かっこ悪いの?わかんないや。どこが?」
そう聞いたけど、イガラシの表情は変わらなくて、何を考えているかわからなかった。
「昨日、きっぱり言われたよ。沙織にとって俺は、可愛い弟にか見えないって」
それはさっき、山口先生も言っていたことで。
「イガラシの言う、かっこ悪いとこ、ってのは好きな人に振られて落ち込んでるところってこと?」
「いいんちょー、そんな直球で答え出すなよー、勉強じゃないんだからさ」
少しだけ、イガラシが笑ったのは気のせいだろうか。
だけど、あたしの言ったことは当たっていたらしく、これがテストの問題だったらきっと100点満点だ。
「ねぇ、いいんちょー」
「なに?」
それは、突然だった。