鈴鹿の最終コーナーを抜けたら…。
その出会いから始まったんだ。
彼女に出会ったのは、夏も終わりに近づいた暑い日のことだった…。
「おい直人、くそ暑いしさ、どっかに泳ぎにいかないか?」
高校時代からの悪友の雅之が、突然言い出した。四畳一間の狭い部屋の中には直人と雅之の2人しかいなかった。お互いに黙ったままで、聞こえているのは騒々しいテレビの音と、やかましいセミの泣き声だけ。そんな状態だったところに、雅之はその言葉を発した。にもかかわらず、直人にはその理由がわかっていた。水着を着たお姉ちゃんのCMを、雅之はぼーっと眺めていたTVで目にしてしまったからだ。直人はTVを見てはいなかったが、単細胞の雅之の考えたことぐらいすぐにわかった。
「お前、ナンパしようなんて考えてるだろ」
直人がそう言うと、雅之は笑いながらすり寄ってきた。
「直人くん、この暑い日に、クーラーもないこのクソ暑い部屋で、一日中こんなことしてたら、しまいには脳ミソが溶けちゃいますよぉ」
雅之はそばにあったドライバーを拾い上げると、直人に手渡しながら言った。直人はドライバーを受け取ると、雅之の言うことなど無視して、黙々と自分の作業を続けた。
「なあ直人、泳ぎにいこうぜ。そんなことあとにすればいいだろ」
なおも雅之は食い下がったが、直人は使い終わったドライバーを置くと、雅之の方に向き直った。
「おい直人、くそ暑いしさ、どっかに泳ぎにいかないか?」
高校時代からの悪友の雅之が、突然言い出した。四畳一間の狭い部屋の中には直人と雅之の2人しかいなかった。お互いに黙ったままで、聞こえているのは騒々しいテレビの音と、やかましいセミの泣き声だけ。そんな状態だったところに、雅之はその言葉を発した。にもかかわらず、直人にはその理由がわかっていた。水着を着たお姉ちゃんのCMを、雅之はぼーっと眺めていたTVで目にしてしまったからだ。直人はTVを見てはいなかったが、単細胞の雅之の考えたことぐらいすぐにわかった。
「お前、ナンパしようなんて考えてるだろ」
直人がそう言うと、雅之は笑いながらすり寄ってきた。
「直人くん、この暑い日に、クーラーもないこのクソ暑い部屋で、一日中こんなことしてたら、しまいには脳ミソが溶けちゃいますよぉ」
雅之はそばにあったドライバーを拾い上げると、直人に手渡しながら言った。直人はドライバーを受け取ると、雅之の言うことなど無視して、黙々と自分の作業を続けた。
「なあ直人、泳ぎにいこうぜ。そんなことあとにすればいいだろ」
なおも雅之は食い下がったが、直人は使い終わったドライバーを置くと、雅之の方に向き直った。