鈴鹿の最終コーナーを抜けたら…。
「米本さん、どうしたんですか今日は?」
「んー?テストだよ。ちょうどこれからセッションタイム」
直人の問いかけに米本は答えると、トラックに載せられようとしていたマシンに手をやった。
「おっ、ニューマシンか?なんだかその割には冴えない顔してやがるじゃないか…」
米本は右手をアクセルにのばすと、身体を直人のマシンに預けるようにしてマシンをまたいだ。米本の体重でマシンが軽く沈む。
「ん、いいマシンじゃないか。俺のととっかえっか?」
「馬鹿言わないでくださいよ」
直人はそう言うと、一言付け加えた。
「このマシン、バランス悪いんですよ」
「バランス?」
聞き返した米本に、直人と雅之は一通りの状況を説明した。
「バランスねぇ…」
話を聞き終えた米本は、体重移動を繰り返したりしてマシンを揺さぶったあと、一呼吸おいてから2人にいった。
「別に問題なさそうだなぁ…」
その言葉に、直人と雅之はため息をついた。そりゃあわかるわけがない。いくら相手がトップライダーでも、実際に走ってもいないマシンのことなんだから。直人は諦めて、米本からマシンを受け取ろうとした。
「まぁ、エンジン、ミッション、排気系は問題ない。ショックとタイヤもいい…ってことだろうな…」
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