鈴鹿の最終コーナーを抜けたら…。
ゴールラインを越えた時、直人は驚喜乱舞する雅之と、それに寄り添う真紀と、そしてそこにいるはずのない女性の姿を見た。あまりのことに、直人は一瞬幻かと思った。目をグラブで擦ってみた。だが、それは幻ではなかった。直人はゆっくりとマシンのタンクに目線を落とした。剥がれかけたステッカーが、今は自分から何かを語りかけてくるようだった。

そうだ…もう一度だけ…言おう…。

「玲美…」

魔法はとけていた…。



Fin.
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