ひとつ屋根の下の王子様
「ねえ、!」
授業後、私は麻都を捕まえて聞いた。
「"成程"ってどーいう意味!?」
「・・・別に?」
・・・確かに、雨錐麻都という男は、
小さい頃から何事にも関心なく、無頓着なくせに
裏表の激しい男だけれども。
「その営業スマイルは嫌いだって言った。」
と少しだけ拗ねたように言えば
「仕方ないだろ、此処は外だから。」
と私に笑いかける。
そう、麻都の表の顔は
誰にでも優しい素敵で完璧な王子様。
でも身内(特に私)には、
腹黒俺様王子。
どっちかっていうと、
私は裏の麻都の方が好き。
だってそっちの方が・・・
本当の麻都の顔って知ってるから。
「でも私は、嘘の笑顔に騙されるバカな子じゃない。」
「んー・・・悪かったよ、日和。」
「で。成程ってどーいう意味。」
「・・・まだ言うか。」