ずっと好きだと言えなかった
「じ、じゃあね」



ギィと門を開ける。
傘から出ようとしたとき、千葉君に手首を掴まれた。



「千葉、くん?」

「……」



目を見張る千葉君。
わたしを引き止めたのは無意識だったのか、驚いていた。
勿論わたしも驚いている。



「……悪い」

「う、ううん」



雨が、冷たい。


パッと手首は離された。
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